【重要】医療機器の広告宣伝における薬機法規制と違反事例の紹介

医療機器の広告は、消費者の健康と安全に直接関わるため、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)により厳格に規制されています。違反した場合、企業は法的な制裁を受けるだけでなく、社会的信用を失うリスクも伴います。本記事では、医療機器の広告が違反となる主なケースと、具体的な違反事例を紹介します。

医療機器の広告が違反となる主なケース

1. 未承認の医療機器の広告

薬機法第68条では、承認を受けていない医療機器の広告を禁止しています。具体的には、製造販売の承認を受けていない医療機器について、その名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告、要するに「あたかも医療機器であるかのような表現」を行うことは違法とされています。

2. 虚偽または誇大な表現

医療機器の効果や安全性について、事実と異なる内容や過度に誇張した表現を用いることは、虚偽・誇大広告として禁止されています。これは、消費者に誤解を与え、不適切な使用や過度な期待を招く恐れがあるためです。

3. 承認された効能・効果を超える表現

医療機器は、承認された効能・効果の範囲内でのみ広告することが許されています。承認されていない効能や効果を謳うことは、薬機法違反となります。

具体的な違反事例

インプレッション社の虚偽・誇大広告事件

2025年2月、兵庫県尼崎市に本社を置く医療機器製造会社「インプレッション」の代表と幹部ら5人が、薬機法違反の疑いで逮捕されました。同社が販売する家庭用電位治療器「インプレックスIAS30000R」は、頭痛や肩こり、不眠症、慢性便秘の緩和が認められているものの、逮捕された人物らは「血液の循環を良くする」「糖尿病が治る」といった、本来認められていない効能を宣伝していました

大阪府池田市のスーパーで開催された無料体験会にて、虚偽・誇大な広告を行い、50~80代の女性客4人に対して販売活動を行ったとされています。この体験会では、約1年2カ月の間に53台、総額約4800万円分の機器が販売されていました。

この事例は、許可された範囲を超えた効能・効果を謳うことが、消費者に誤解を与え、健康被害につながる可能性もあるため、厳しく取り締まられることを示しています。

違反のリスクと注意点

薬機法に違反した場合、企業は業務停止命令や罰金などの行政処分を受ける可能性があります。さらに、社会的信用の失墜や消費者からの信頼喪失といった深刻な影響を及ぼすことがあります。そのため、医療機器の広告を行う際は、薬機法をはじめとする関連法規を十分に理解し、適切な表現を用いることが重要です。

また、広告を作成する際には、専門家の意見を取り入れ、法的リスクを回避するためのチェック体制を整えることが推奨されます。これにより、消費者に正確で信頼性の高い情報を提供し、健全な市場環境を維持することが可能となります。

以上のように、医療機器の広告においては、法令遵守と倫理的な情報提供が求められます。企業はこれらを徹底することで、消費者の信頼を獲得し、持続的な成長を遂げることができるでしょう。

投稿者プロフィール

坂口 牧子
坂口 牧子
代表取締役。獣医師。YMAA個人認証取得。
薬機法に関することはお気軽にお問い合わせください。

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